被告(国)の横暴を許さない!(ウィシュマさん死亡事件第3回口頭弁論)

9月14日、名古屋地裁にて、名古屋入管ウィシュマさん死亡事件国家賠償請求訴訟の第3回口頭弁論が行われました。今回も80人以上の方が全国各地から傍聴に来てくださり、傍聴席を埋め尽くしました。今回の弁論では7月20日に提出された被告(国)の準備書面・意見書に対する原告(ご遺族)の準備書面が提出されました。

裁判の状況

原告のご遺族は、ウィシュマさんが収容されていた単独室の監視カメラのビデオ映像全て(295時間分)の証拠提出を、提訴時から求めています。しかし、被告である国側は、「合計295時間分の極めて長時間の映像の全てについて証拠取り調べを行う必要があるとはいえない」とし、必要性があると言うなら、映像のどこの部分が必要なのかを、具体的に指定すれば開示を検討すると言っています。
ウィシュマさんがなぜ死んでしまったのか?真相の解明をするためには、生前のウィシュマさんの様子や収容施設内の状況が分かるビデオ映像が絶対に必要です。長時間だから、というのはビデオを提出しない理由にはなりません。また、ビデオを全て見ていない原告側に対して、必要な部分を具体的に示せ等と言うのは、嫌がらせに近い話です。国側の、ビデオ映像の全ての提出を拒否する理由は全く成り立っていません。そもそも、ビデオは国のモノではありません。裁判が始まってすでに6か月が経っているにも関わらず、国側の独善、わがままで、裁判の進行が遅れていく状況は、異常です。
第3回弁論では、裁判長から国側に「証拠保全で原告側が見ている5時間分のビデオについては、提出するべきである」と勧告が出されました。しかし、国側の回答は「検討します」という一言で、それ以外はビデオの証拠提出に言及しませんでした。
その他、書類の提出期限についても、国側は、通常1、2か月で準備できるものを、3か月後の次回期日(12月12日)には間に合わないと言い、裁判長が何度か、11月14日に書類を提出すように指示しても、即答で「11月18日でお願いします」と言い、原告側だけでなく裁判長をも軽んずるような態度に、傍聴席からも何度も失笑や非難の声が挙がりました。


ウィシュマさんは、自ら望んで単独室に移動したのではありません。入管側の判断で、ウィシュマさんを保護し、収容して、結果、死なせてしまったのです。入管には被収容者の生命と健康を守る責務があります。その収容施設内で、一人の女性を死なせてしまったことを心から反省し、ご遺族のために、また2度と同じことを繰り返さないために、法務省―入管庁は真相解明に尽力しなければなりません。にもかかわらず、裁判において国側は、家族を失った被害者であるご遺族を前にして、謝罪も反省の言葉もなく、裁判の迅速な進行に協力するどころか、まっとうな理由なく遅延させ、あげくには裁判長の訴訟指揮にも素直に従おうとしていません。ウィシュマさんを見殺しにしておいて、こんな横柄な態度を許していいのでしょうか!?
裁判に参加したウィシュマさんの姉妹、ご遺族は、裁判後の記者会見で、国側の態度に対し、「日本は本当に法治国家なのでしょうか!?」と怒りをあらわにし、憤慨していました。このような国の横暴を許してはなりません。徹底してウィシュマさん死亡事件の真相解明、そのためのビデオ映像の全ての提出を求める世論をもって、被告側を包囲し、国側がウィシュマさんやご遺族を軽んじるような態度がとれないようにしていかなければなりません!

次回裁判は12月12日(月)15:00~名古屋地裁にて行われます。引き続き裁判傍聴など、ご支持・ご協力をよろしくお願いいたします。



訴訟資料

ウィシュマさんが名古屋入管に提出していた申出書・2021年2月15日の尿検査結果

ご遺族のコメント