入管法施行以降の名古屋入管を問う!監理措置制度の廃止を求めて申し入れを行いました。


10月23日、名古屋入管に対して、監理措置制度反対を主とした申し入れを、STARTをはじめとする支援者、市民、当事者で行いました。


申し入れを行った趣旨は以下の通りです。

 まずは監理措置制度に我々は反対している、ということを表明しました。なぜ、反対しているのか。それは、監理措置制度そのものが人権侵害であるからです。この制度は収容場から出た被監理人を、監理人が日々の生活を監視し、入管から要請を受ければ被監理人のプライベートな情報も入管に報告しなければなりません。まさしく被監理人の人権、プライベートを侵害するものです。入管は、帰国できない事情を抱えて帰国を拒否している外国人を「送還忌避者」と呼び、「送還忌避者」の増加を、収容・送還の強化によって解決しようとしています。2021年3月6日に名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんも、この入管の、どんな事情を抱えた人も一律に追い返す、送還一本やりの方針の中で、どれだけ体調不良を訴えても、どれだけ衰弱していっても、「詐病」扱いされ、点滴一本打ってもらうことなく亡くなってしまいました。当事者をあえて苦しい状態に置き、日本在留を諦めさせるというのが入管の常套手段です。入管のこの手段によって、これまで収容施設内での死亡事件、長期収容問題が起きてきました。

入管は被収容者に対して「監理措置ならこれまでの制度よりも早く収容施設から出られる」と宣伝していますが、監理措置制度は、送還一本やり方針の一環であり、収容されていない状態の当事者への監視・抑圧を強化し、帰国に追い込むための制度でしかありません。

ウィシュマさん死亡事件とその背景にある入管の収容・送還方針について、詳細はこちらに掲載しています↓

入管闘争市民連合ホームページ「ウィシュマさん死亡事件の責任の所在」

ウィシュマさん死亡事件の責任の所在 | 入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合

ホーム当団体について問題解決への提言・声明文入管法"改悪"反対ウィシュマさん死亡事件国賠訴訟を勝利へ仮放免者に在留資格をその他2021年3月6日、名古屋入管に収容されていた、33才のスリランカ人女性ウィシュマさんが亡くなられました。ウィシュマさんの収容されてからの経緯を見れば、ウィシュマさんの側に問題があったのではなく、入管に見殺しにされたということは明らかです。にもかかわらず、入管は、その収容主体責任を認めようとせず、末端職員に責任を擦り付ける、責任逃れの対応を繰り返しています。この死亡事件、背景にある入管の本質を多くの方に知って頂き、入管問題を抜本的に改革していくために、日本社会として入管に対して声を上げ、闘っていきましょう。ウィシュマさんが収容されてから亡くなるまでの経緯ウィシュマさんは2020年8月に収容されてから亡くなるまで、6ヶ月を越える長期間、狭い空間の中に閉じ込められていました。彼女は収容された当初は帰国に同意していましたが、退去強制令が出されて間もなく、帰国できない深刻な事情が発生してしまいます。それは、同居していた彼氏から暴力を振るわれており、彼から手紙が来て脅されているということです。帰国すれば命の危険があると感じたウィシュマさんは、12月17日に、これまでの意思を覆し、日本に残りたいと職員に伝えました。日本在留を希望した途端、入管職員から圧力日本在留を希望する旨を伝えた途端、入管側の態度が豹変し、「帰れ、帰れ」「無理やり帰される」と言い、圧力をかけてくるようになりました。ウィシュマさんから「職員は私の言うことをちゃんと聞いてくれない」、「怖いから面会に来てください」と、STARTに電話連絡が入るような状況になってしまいました。入管の中間報告、最終報告では真相究明・再発防止にならない理由体調は日に日に悪化していき、1月下旬、吐血したウィシュマさんは、2月5日、外部の病院で胃カメラの検査を受けました。ところが、その検査の結果について、ウィシュマさん本人には「問題なし」としか報告されていませんでした。その後も、吐くことを恐れ、飲食ができなくなったり、歩くことができなくなったりしていました。しかし入管は、ウィシュマさんに対し、「リハビリ」と称し介助もせずに歩かせ、何度も転倒することがありました。亡くなる3日前に面会したSTARTのメンバーは、「異様な

入管闘争市民連合

2021年4月21日にウィシュマさん死亡事件を受けて緊急抗議集会を行った際の基調報告


 今回の申し入れでは、名古屋入管で最近起こっている問題についても取り上げ、抗議しました。

一つ目は、モンゴル国籍の被収容者が仮放免申請のための書類がほしいと職員に求めたところ、「仮放免は体調が悪い人だけ」と職員に嘘の情報を伝えられ、申請書類を渡してもらえなかった事案についてです。入管は今年の6月に改訂された入管法の中で、仮放免を許可するのは体調不良者と人道的配慮が必要な人、またはそれに準ずる人に限定し、それ以外は監理措置制度で収容を解くと定めました。6月から監理措置制度の運用が始まりましたが、入管はまともな説明もせずに、当事者に監理措置制度を促しています。仮放免制度と監理措置制度のどちらを申請するかは、二つの制度の違いを良く理解した上で当事者が決めることです。それにも関わらず、申請書類すら渡さないというのは、権利の侵害であり、どのような判断なのかと質問しました。

二つ目は、仮放免者の面会拒否です。2024年9月18日に、モンゴル国籍の仮放免者が同じモンゴル国籍の被収容者に面会するため申請を行ったところ、面会受付で職員から「ハンガーストライキで仮放免になった人と病気が理由で仮放免になった人は面会できない」と説明されました。後日、STARTと一緒に処遇部門の責任者に対して、面会拒否の撤回を要求したところ、結果としてはモンゴル人の仮放免者は面会できるようになりました。面会を許可した理由については、当該モンゴル人仮放免者が「きちんと仮放免の原則を守っているから」というもので、面会可否については「これからは個別で判断する」と説明されました。

結局、なぜハンガーストライキまたは体調不良で仮放免になった人が面会をしてはいけないのかは不明なままです。このように面会者を制限するルールがあるならば、その線引きの根拠と共に明らかにするよう求めました。

 監理措置制度の廃止を求めて、既に関東、関西でも支援者、市民、学生が各地方入管に申し入れを行っています。民間人に外国人を監視させるような、社会排外主義を煽るような制度には断固反対であり、歯止めをかけるための全国的な運動の一環として東海でも申し入れをしました。

申し入れの場には当事者、学生、市民合わせて15人が集まり、入管の窓口になっている総務課に全員で向かいました。総務課の職員は、申し入れの際は部屋に3人までの入室しか認めないと全員での申し入れを断ってきましたが、抗議をすると入管職員も譲歩し、全員の立ち合いを認めました。名古屋入管はこれまで、支援者の申し入れに対しては「回答の義務はない」という態度をとってきました。しかし、名古屋入管はウィシュマさん死亡事件以降、二度と同じ事件が起きないよう再発防止がされているのかが、問われています。真にひらかれた機関として入管組織を改めるのであれば、市民、学生、何より当事者の声を真摯に受け止め、申し入れにも回答していただきたいと名古屋入管に伝えています。

私たちは、今回の申し入れで終わらせず、継続して申し入れを行っていく予定です。次は11月20日(水)に、名古屋入管に回答を聞きに行きます。

ウィシュマさん死亡事件から3年半が経ち、名古屋入管はメ~テレのテレビ報道にあったような、ひらかれた入管へ変わっていると言えるでしょうか?

本当にウィシュマさん死亡事件を二度と繰り返さないために真相究明・再発防止に努めているとすれば、明らかに人権侵害を強化する監理措置制度を運用したり、国賠訴訟で責任逃れの態度をとったりしないはずではないですか。

表面的な改善だけで「入管は変わった」とアピールして世論を騙し、民族差別・人権侵害の本質を覆い隠して、問題の風化を狙っているのでしょう。ウィシュマさん死亡事件を二度と起こさないよう、在留資格を持たない状態で苦しむ人々が安心して日本で生活できるよう、日本社会がこれ以上、排外主義の方向に進まないよう、共に、入管の民族差別・人権侵害に反対の声をあげましょう。

実際に、名古屋入管に申し入れをした文書↓

(STARTのほかに、趣旨に賛同してくれた団体・個人と共に、申し入れを行っています。)