【ウィシュマさん裁判第23回】裁判報告 原告協力医(今川篤子医師)の証人尋問が行われました!

1月14日にウィシュマさん名古屋入管死亡事件国賠訴訟第23回口頭弁論が行われました。今回は、原告協力医である今川篤子医師の証人尋問が行われました。

当日は、午前中の原告側からの尋問は主にスライドを使用する形で行われ、午後に被告側からの反対尋問、その後双方から最終尋問、最後に裁判官からの尋問という流れで進みました。


〈今川医師について〉

今川医師は東京勤労者医療会 あびこ診療所の所長を務め、内科・神経内科を専門としています。


〈今川医師の証人尋問について〉

原告側、被告側、裁判官からの尋問に対して、今川医師の主要な発言は以下の通りです。

・2月15日の尿検査の結果から、肝機能障害や飢餓、腎機能障害の可能性を指摘し、「この時点で血液検査をして内科につないでいれば、救命できた可能性は高い」

・亡くなった日の3月6日の午前中時点で胸の大きく上下した異常な呼吸であるクスマウルの大呼吸と見られ、血液が酸性であったことを指し、クスマウルの大呼吸の時に救急搬送して救命できた症例もあり、2月15日と比較したら助かる可能性は下がるかもしれないが、1%でも助かる可能性あれば、すべきことはたくさんあった。

・食事を取れず体重が大幅に減っていたことから「低栄養」、排尿回数が少ないことから「脱水」、筆跡の乱れなどから「ビタミンB1欠乏症」の疑いも挙げ、「点滴で脱水を改善すれば食事が取れるようになった可能性がある」

最初の原告側からの主尋問の最後、今川医師は「救命の可能性高かったのに、兆候はあったのに検査も受けられなかったことが残念でならない。」と涙ながらに述べました。主尋問が終わった後では、今川医師に対して傍聴席から拍手が起こりました。

一方その様子を見ていた被告国は、反対尋問の中で「涙ぐんだのはなぜか。」「傍聴席からの拍手にお辞儀をしていたのはなぜか。」などの質問をし、それに今川医師は「(ウィシュマさんが受けた入管の医療は)自分のいつも行っている医療とはかけ離れている。1人の医師として医療は患者の命を救うものと考えている。医師として、入管の中で基礎疾患のない状態で、このような経過で内科的な診断も受けられず亡くなった。」「医者だから悔しい。」と医師としての立場、意見を鮮明に述べました。


〈今川医師の証人尋問を受けての支援者としての見解〉

これまでの野村医師や新美医師の尋問で出された意見は、ウィシュマさんが当時どういう状態だったかという客観的な状況よりも、入管、新美医師が何をしたか、やるべきことやっていたという入管、新美医師の主観からしてどうだったかという観点で一貫して意見が述べられていました。

一方、今回の今川医師の意見は、ウィシュマさんが体調悪化し始めてから亡くなる前までの状態を具体的に、詳細につかみ、そのもとで、どういう可能性が疑われ、その可能性のもとで、何ができたか、何をすべきだったか、という後方視的な観点で意見が述べられ、今川医師自身も尋問のなかで述べていましたが「診断書など記録が残されており、どこでどうすれば助かったか、ウィシュマさんが身を挺して残してくれた教訓」を「次の医療、今後の入管医療に生かすため」「医者としてどうあるべきか」という根本的な医師の在り方から自らに問うて、また客観に問うているものであると考えます。


比較すると、今川医師の意見は医師としての立場が鮮明であり、かつ具体的な当時の状況を1つ1つ拾っており、ウィシュマさんの死に対して他山の石とせず、誠実に向き合われていること、またその意見は論理性があり、客観的にも説得性のあるものであったと評価できます。

前回の裁判では、新美医師から、「入管には点滴を打てる環境が整っておらず、そもそも自分には点滴を打つ権限はない。入管の方で判断して外部病院に連れていくこともできる」という発言がありました。このことから、ウィシュマさんの死は、計四回診察を行った医師の責任にとどまらず、日常の様子を知りながらも収容し続けた入管に責任があることは明らかです。

野村医師は尋問の中で、5時間分のビデオ映像を見たと述べたもとで、「職員が真摯に対応していた、ウィシュマさんは食べる努力をして食事をとっていた」と述べていますが、根拠はどこにあるのでしょうか。職員の対応が「真摯」であったのか、また、どれくらいの食事を摂取していたのかは、客観的証拠であるウィシュマさんが亡くなるまでの状況を記録に残したビデオとウィシュマさんと直接かかわりのあった入管職員及び看護師、対応の判断を出した入管幹部の証言がなければ判断できません。

私たち支援者としては、ご遺族が望んでいる真相究明・再発防止を実現する立場に立つならば、ビデオの全面開示と証人尋問を医者で終わらせない、という二点を掲げて裁判に臨むべきではないでしょうか。


次回期日の1月28日(水)は、原告協力医である下医師の証人尋問が行われます。現状決まっている医師の証人尋問としては最後の尋問になります。

ぜひ裁判傍聴支援をよろしくお願いいたします。