【ウィシュマさん裁判第22回】裁判報告 被告協力医(野村医師)の証人尋問が行われました!
12月24日にウィシュマさん名古屋入管死亡事件国賠訴訟第22回口頭弁論が行われました。今回は、被告協力医である野村医師の証人尋問が行われました。
当日は、午前中の被告側からの尋問は主にスライドを使用する形で行われ、午後に原告側からの口頭での尋問、その後双方から最終尋問、最後に裁判官からの尋問という流れで進みました。
〈野村医師について〉
野村医師は久留米大学病院の病院長を務め、内分泌代謝内科を専門としています。また、当病院の医療安全管理部を統括しています。ウィシュマさんが名古屋入管で亡くなった後、入管から意見書作成を求められ、提出しています。
〈野村医師の証人尋問について〉
被告側、原告側、裁判官からの尋問に対して、野村医師の主要な発言は以下の通りです。
尋問の前に野村医師から「ウィシュマさんが不幸な結果となったことに、心より哀悼の意を示します。」と述べました。
野村医師がスライドを使用して、①ウィシュマさんの死因について、②当時の庁内内科医師であった新美医師の判断について、野村医師の見解を述べています。①については、「飢餓状態であるケトアシドーシスや高カリウム血症を示す数値は心停止後にも上がるため、亡くなる前から現れていたかは断定できない」、②について、各診療や検査結果後の判断については「少ないながらも食事、水分を自ら取っていたことから食欲不振の原因を突き止めるのは妥当な判断である」と述べています。結論としては、「死因の機序が分からないため、医学的に死因を特定することは不可能と言える」、「新美医師は、ウィシュマさん本人の主訴をしっかり聞き、判断を出している。通常の対応と変わらない」とまとめています。
しかし、原告側と裁判官の尋問による尋問を行う中で、野村医師の主張が少し変化しています。点滴の判断について野村医師自身の見解を聞くと、「点滴すべき、(言い直して)点滴した方が良かった。自分の病院であればしていたと言える」と答えています。また、ウィシュマさんの食事・水分の摂取について聞くと、「前提として、経口摂取は飲み込んで吸収することまでを摂取と考えている」「どれくらい吐いていたかは分からない。食事はとっていたものの、30代女性が摂取するべき栄養は足りていなかった」と述べました。
そのもとで野村医師の最終的な意見としては、「死因は判断できないが、肝機能障害、腎機能障害は死亡の可能性として否定されない。私としては肥満の恒常性の破綻、一番はこれなのではないかと考える」、「ウィシュマさんが亡くなるとは誰も想定できなかった。治療を進めている段階で、みんなが真摯になって食事の改造、食べさせようと努力している中で、改善が見られる中で予期せぬ死亡だった」と答え、裁判は終了しています。
野村医師の尋問の様子は、事前に準備をしていたスライドによる説明などの場面は早口に淡々と話していました。一方、原告側、裁判官からの質問に対して言い直すなど、スライドの時と比較して言葉に慎重になったり、質問の内容に直接答えるだけでなく自分の言いたいことを勝手に話したり、少し動揺している様子でした。
〈野村医師の証人尋問を受けての支援者としての見解〉
以上の状況からして、野村医師は入管と新美医師をかばう立場で発言をしていると評価できます。
当時、ウィシュマさん本人は、「明日死ぬ」、「点滴をお願い」と職員に訴えていました。私たちSTARTとの面会の場では、初めのうちは自分で歩いて面会室に入ってきていましたが、日に日にやつれて、車いすで面会室に来るようになりました。亡くなる3日前の面会は彼女の目は窪み、虚ろな状態で、誰が見ても早急に適切な医療措置をしなければならない状態でした。しかし、野村医師は当時の状況からして「予期せぬ死だった」と結論付けており、ウィシュマさんの死の責任や死因を曖昧にしています。これは、医療の専門家としての見解ではなく、入管と新美医師をかばう立場であることは明らかです。
一方で、自分の病院なら点滴を打っていた、食事の摂取量は十分ではなかった等、野村医師の本音が出ており、新美医師を擁護しきれていない場面もありました。
前回の裁判では、新美医師から、「入管には点滴を打てる環境が整っておらず、そもそも自分には点滴を打つ権限はない。入管の方で判断して外部病院に連れていくこともできる」という発言がありました。このことから、ウィシュマさんの死は、計四回診察を行った医師の責任にとどまらず、日常の様子を知りながらも収容し続けた入管に責任があることは明らかです。
野村医師は尋問の中で、5時間分のビデオ映像を見たと述べたもとで、「職員が真摯に対応していた、ウィシュマさんは食べる努力をして食事をとっていた」と述べていますが、根拠はどこにあるのでしょうか。職員の対応が「真摯」であったのか、また、どれくらいの食事を摂取していたのかは、客観的証拠であるウィシュマさんが亡くなるまでの状況を記録に残したビデオとウィシュマさんと直接かかわりのあった入管職員及び看護師、対応の判断を出した入管幹部の証言がなければ判断できません。
私たち支援者としては、ご遺族が望んでいる真相究明・再発防止を実現する立場に立つならば、ビデオの全面開示と証人尋問を医者で終わらせない、という二点を掲げて裁判に臨むべきではないでしょうか。
次回期日の1月14日(水)は、原告協力医である今川医師の証人尋問が行われます。医師の証人尋問が終盤に差し掛かっています。再度市民の運動を盛り上げましょう!ぜひ裁判傍聴支援をよろしくお願いいたします。
最後に、ウィシュマさんの妹のポールニマさんが裁判後、支援集会で述べていた内容について紹介します。
野村医師の話を聞くと、新美医師のミスがあったことは明らかだと思います。私自身感じたこと何点かあるので伝えます。
一つ目は、野村医師がビデオで診察に車椅子に来るのを見たと言い、新美医師は覚えていないと言っていました。一方、野村医師は患者が来たときにどうやって診察するか聞かれた際、彼は患者にどうやって来たか聞き、自力で立てるか注視してみると言いました。新美医師は、車椅子で来たか覚えておらず、自力で立てたかも分からない点からして、野村医師が、新美医師が医者として適切な判断をしていたと評価するのは、矛盾していると思います。
二つ目に、野村医師がビデオを見たと言っていて、ビデオも中で「アネ、アネ」と助けを求めており、点滴を求めている場面もありました。入管も(ウィシュマさんのその状況は)分かっています。野村医師は、職員が一生懸命やっていると言っていますが、それすらおかしいです。ウィシュマが点滴求めているのに、職員は「ボスに伝えるけど、私たちに(点滴や病院に連れていく)権力ない。」と言っています。それなのに職員が一生懸命やっていると言っているのはおかしいと思います。
三つ目は、野村医師が発言、30代の女性に対して出した栄養が足りていないと認めたことです。つまり、ウィシュマが摂食が足りていないと認めたとも言えます。
四つ目に、一番大きい矛盾は、新美医師が診療録にウィシュマが食べていると残しているが、後々食べていないと訂正しています。その訂正しているところは野村医師が把握しておらず、食べている前提で判断している。全体的には今日の野村医師の発言も総体として間違っているとはっきり言えます。
(支援者に対して)今まで支えてくれてありがたいし、2026年もよろしくお願いします。
〈裁判期日〉
1月28日(水) 原告協力医(下医師)の証人尋問
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