【送還方針の転換を!】
日本には過酷な状況の中に置かれている外国人が数多くいます。母国から逃れてきた難民や、帰国できない事情を抱えた非正規滞在者たちです。
日本の出入国在留管理庁(以下「入管」)は、日本に20年~30年以上も居住する人たちに対しても、日本在留を認めず、入管法違反者として退去強制処分という行政処分を下してきました。こうして強制送還の対象となっても、帰国に応じることが出来ない難民や外国人の人たちは、劣悪な処遇環境の収容施設に長期間収容され、また「仮放免」という収容状態を一時的に解かれた状態であっても、在留資格がない状態のままで何年間も放置され、時には収容中に命を落とすなどの悲惨な事件が起きています。
この長期収容し送還するという入管の方針は、これまでの送還一辺倒の入管行政の結果として生じた仮放免者等の非正規滞在者の増大を解消するために打ち出された方針でした。しかし、あまりに非人道的な処遇に対して全国各地の被収容者によるハンガーストライキという大規模な反撃を受け、また、九州の大村入管センターでは、ハンガーストライキ中のナイジェリア人を見殺しにするという被収容者への虐待等が明らかになり、入管側はこのままの状態を続けることができない状況に追い込まれていました。
そのような状況の中、入管は入管行政の行き詰まり、非正規滞在者(入管いわく不法滞在者)の増大という問題の打開策として、退去強制命令が出されても送還を拒否する者に対して、刑事罰を科して強制送還に応じさせようとする法案の立法化を準備しています。この法案は、日本にいる外国人の権利を守るためのものではなく、一方的に外国人を日本から追い出す、送還することを目的としたものであり、正しい解決方法ではありません。今まさに入管行政には、送還一辺倒の方針の転換こそ求められています。
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