抗議申入れ(4/28)
4月28日、名古屋入管に対して抗議、申入れを行いました。内容としては、①3月11日付「申入書」、4月7日付「真相究明及び抗議申入書」に基づく、死因と再発防止に向けた具体的な改善策の公表がなされていないことに対する抗議、②被収容者に対して、基本的に全員に仮放免許可を与えること、③支援者と、局長と各部署の責任者同席の話し合いの場を設けることを申入れました。
3月6日のスリランカ人女性の死亡事件の発生から2ヶ月が過ぎようとしているにも関わらず、入管の発表では未だに「死因不明」、さらに再発防止に向けた改善策も全く打ち出されていません。それどころか、STARTがこの間、面会で被収容者から把握した状況、情報からして、名古屋入管の被収容者の処遇は悪化していると言わざるを得ません。
ある男性の被収容者が、仮放免許可申請が不許可となり、かつ不許可の理由を一切教えられないことにショックを受け、食事を食べられない状態が2,3日続きました。それに対し入管は「(入管の出す)食事を食べないから」という理由で男性を共同室から単独室(4畳半の狭い部屋。監視カメラがついており24時ビデオを録画している)へ移しました。当初は部屋の外に出られるフリータイムも20分に制限されていました(通常は午前3時間、午後4時間の計7時間)が、男性が抗議した結果、1時間に延長されました。
面会したSTARTに対して、男性は「単独房にいると余計にストレスが大きい。カメラがついているが、職員は呼んでも来ない。亡くなったスリランカの女の子の気持ちがよく分かった」と話しています。現在(4月28日時点)、男性は共同部屋に戻されましたが、給食をはじめとして固形の物は食べられず、水と毎朝一本出される栄養剤しか摂取できない状態です。職員からは「明後日(4月30日)になっても食べられなかったらもう一度単独室に戻す」と言われ、男性は「また一人部屋に移されたら自殺するかもしれない」と話しています。
入管は「食事を食べられない男性を保護する」という名目で単独室へ移したと主張していますが、その実態は、ストレスで食事を食べられなくなった男性を、狭い部屋で一人閉じ込め、他の被収容者とも交流することもできない状態に置いていました。これは「体調不良者の保護」ではなく、「給食を食べない事に対する懲罰」です。
この男性をめぐる処遇問題は、一つの事例に過ぎず、この間も多くの被収容者から、入管の処遇の不当性を訴える声が寄せられています(提出した申入書にいくつかの典型的な事例を掲載しています)。1人の人間を見殺しにし、命を奪っておきながら、対応を改善するどころかより高圧的な態度で被収容者に接するようになっており、現場のストレスはより一層高まっている状況にあります。このような、被収容者の人権をないがしろにし、健康と命を危険にさらすような処遇の在り方を改善しようとしないならば、私たちは入管の収容権を認めることはできず、被収容者全員、とりわけ体調不良者と長期収容者から優先的に、仮放免許可を与えることを申入れました。
被収容者は今も、劣悪な収容環境と処遇の中で、いつ出られるかも分からない状態での収容に耐え続けています。全国の入管の収容施設にいる被収容者が同様の状態に置かれています。STARTとしては、3月6日の死亡事件の真相究明と共に、現在の入管の医療、処遇問題の改善を徹底して追求していきます。
英語版
0コメント